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『私たちは子どもに何ができるのか ― 非認知能力を育み、格差に挑む』はエビデンス豊富でお勧め教育方法が具体的に書かれていた

2020年11月8日

本書は、科学的根拠(エビデンス)をあげながら、貧困家庭の子どもの教育で、特に大事な非認知力を向上させる具体的な方法について論じています。

非認知力とは、

  • やり抜く力(GRIT)
  • 粘り強さ
  • 好奇心
  • 誠実さ
  • 自制心
  • 楽観主義
  • ストレスにも対処できるだけの弾力性(レジリエンス)

などの気質のことだそうです。

非認知能力についてはこちらのページにの特集が充実しています。以下の、『非認知能力の仕事への活かし方』の記事も超お勧めです。

東大生に勝って年収1,000万円を獲得した大人の非認知能力|行動19選 (2020/9/23)


学習のための積み木

出典: Building Blocks for Learning 学習のための積み木
(和訳を追加)

非認知能力を育てるための『学習のための積み木』という考え方があります。

Turnaround for Childrenという組織が2014年に提唱した子どもの発達に関する考え方です。

中学生や高校生になったときにレジリエンス、好奇心、学業への粘りといった高次の非認知能力を発揮するためには、その土台として、小学生の頃の自己認識能力や人間関係を作る力が必要。
それらは、さらに、人生の最初期(0歳から3歳)に築かれる、

  • 安定したアタッチメント(親からの愛情?絆をつくる能力?)や、
  • ストレスを管理する能力、
  • 自制心

といった基幹の上に成り立つ。

まずは赤ちゃんのときから、『安心してありのままでいられる居場所』としての家庭、親との人間関係を作ることが第一歩のようです。

参考リンク1

参考リンク2

非認知力を伸ばすためには、0歳から3歳のときに慢性的なストレスのない環境を作ることから始める

環境とは親と子の人間関係のことだそうです。

数学ができるようになるためには、数学を教えるのがよさそうです。しかし、『粘り強くなりなさい。』と子どもに言っても、簡単に粘り強くなる訳ではないことは明らかです。

こどもが非認知力をつけるための具体的な方法としては、以下が挙げられていました。

  • 乳児期から、子供の関心を共有し、片言のおしゃべりや泣き声に対し、しぐさや表情や言葉で反応する、たくさん語りかける(『わんわんね!』『あらあら、悲しいの?』)
  • 子どもが動揺したときに、大声で怒鳴りつけるのではなく、気を逸らしたり、ギュッと抱きしめてあげる
    (体罰は論外だそうです。日本でも2020年に体罰は法律で禁止されました)

0歳から3歳までは、『逆境』によるストレスを与えない。親や世話人と、穏やかで安定したやり取りを重ねて、集中力の土台を作るのが大事だそうです。

えーっと、りーたんはもう3歳になってしまっています、、、が、本書の後の方を読むと、早いに越したことはないですが、中学生や高校生からでも、非認知能力を上げることはできるそうです。

りーたんが親の言うことを聞かずにわめいているときも、できる限り、ぎゅっと抱きしめてあげたいと思います。(こんなこと書いていますが、実際はそれどころではなく、大声を出してしまうことも、、、)

3歳~6歳ではルールを決めて、よいところをほめる

明確なルールを決めて、一貫性のある規律が保たれ、悪い行動を罰するのではなく、よい行動に注目する

本書では、幼稚園の話でしたが、「非認知能力」の育て方:心の強い幸せな子になる0~10歳の家庭教育 では、家の中で明確なルールを、こどもと一緒に設定しましょうと記載されていました。

3歳~6歳でも、子供が動揺したり、小さな対立が起こりそうになったときは、気を逸らしたり、あるいは抱きしめてあげるのがよいとのことです。

『アメとムチ』はやめよう!

行動主義としての、
『テストでいい点をとったらご褒美』
は、勉強すること自体が『楽しみ』ではなく、『ご褒美をもらうためのつまらない仕事』になってしまい、好ましくないのではという考え方があるようです。

しかし、そうは言われても、りさおはりーたんに何かをしてもらいたかったり、してもらいたくないときは、アメとムチを使わざるを得ないときがかなりあります、、、

エドワード・デシとリチャード・ライアンの「自己決定理論」

「有能感」「自律性」「関係性(人とのつながり)」の三つが満たされるときにかぎり、人は内発的動機づけを維持できる。

というのが、「自己決定理論」だそうです。

学校で教師が生徒に課題に対するモチベーションを促すために、以下のようにするとのことです。

  • 「自律性」:生徒が自分で選んで、自分の意思で課題に向かっていると思わせる (→難しそうですが、、、)
  • 「有能感」:生徒たちの現在の能力を本の少し越える課題を出す
  • 「関係性(人とのつながり)」:生徒は教師に認められているという安心感を作る

非認知力を上げると最終的には成績や大人になってからの収入も上がる

非認知力を上げると、

『自分で考えて、自分で勉強するようになる』

そうです。数学を教えなくても、自分で数学を勉強して、数学の成績が上がってしまうという流れのようです。

本書には、その具体例となるデータがいくつか掲載されておりました。反対に、アメとムチの政策を行っても、成績が全く上がらなかったというデータも記載されていました。

非認知力向上教育の実践は親が疲れるのが難点だけど、がんばります

アメとムチを使わずにりーたんを育てようとすると、本当に疲れます。また、他の育児書には、

『テストで100点を取った結果』をほめるのではなく、『100点を取る過程でがんばって勉強したこと』をほめるべし

と書いてありますが、つい、

『絵が上手に描けたね!』

と言ってしまった後、

『がんばって絵をかいて、素晴らしいよ!』

と言い直したりしているのですが、これを言うのに、親としては、ほめるときも一呼吸おいて考えながらほめなければならず、結構面倒です。

でもかわいい我が子のためなので、面倒とか疲れるとか言ってはよろしくないですね。育児、考えながらも楽しみたいと思います。


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