なぜ、いじめはどんどん酷くなるのか?心理学が暴いた正体【Obermann, 2013】
前回は以下
Contents
この論文を読んだきっかけ

りさおは小学1年生の1学期に小学校になじめず、いじめられて、転校しました。転校後は幸い、いじめられませんでした。
りーたんは現在小学校低学年、「自分の名前を変に変えられてからかわれた」など、いじめ?と思うような話をちらほら聞いて、りさおの小学1年生時代を思い出しました。2013年には、「いじめ防止対策推進法」が施行され、時代も変わってきているであろうとのことで、いじめについてのエビデンス(科学的根拠)を調べてみたいと思い、まずは、「学校を変えるいじめの科学」という本を読んでみました。いじめに関するエビデンスがたくさん載っていて、この30年間で、いじめについて、かなりのことがわかってきており、いじめ対策の研究も進んできているということがよくわかりました。この本にのっている論文も含め、しばらく、「いじめ bullying」に関する論文について調べてみたいと思います。
今回は、
いじめは初期に止めないとどんどんエスカレートしていく
というお話です。
論文の題名とリンク

Obermann, M.-L. (2013). Temporal aspects of moral disengagement in school bullying: Crystalization or escalation? Journal of School Violence, 12(2), 193-210. https://doi.org/10.1080/15388220.2013.766133
https://psycnet.apa.org/record/2013-10970-005
学級いじめにおける道徳的無効化の時間的側面
― 固定化か、それともエスカレーションか?
NotebookLMによる解説















PICO/PECO
① PICO(介入的に読む場合:教育・予防の示唆向け)
P(Population)
- デンマークの中学生(6〜8年生)567名
- 年齢:約12〜14歳
- 一般的な公立学校(平均的な社会経済背景)
I(Intervention / Exposure)
- いじめ加害行動への関与(時間的変化)
- 自己申告によるいじめ行動の増減
- それに伴う
道徳的無効化(moral disengagement)の変化- 「冗談だった」
- 「相手にも原因がある」
- 「大したことじゃない」など
※実験的介入ではなく、自然経過(縦断観察)
C(Comparison)
- いじめ関与の軌跡による比較:
- 非いじめ群(non-bullies)
- 新規いじめ群(new bullies)
- 中止群(desisted bullies)
- 持続群(stable bullies)
O(Outcome)
- 道徳的無効化スコアの変化(T1 → T2, 1年間)
- 主なアウトカム:
- いじめを続ける子どもでは
道徳的無効化が高い水準で維持/相対的に上昇 - いじめをやめても
道徳的無効化は有意に低下しない(固定化)
- いじめを続ける子どもでは
PICO的結論
いじめは
「行動」だけでなく「善悪判断の仕組み」を変化させ、
その変化が次のいじめを支える
→ 早期介入を逃すと、心理的ブレーキが効きにくくなる
② PECO(因果・疫学的に読む場合:エスカレーション検証)
P(Population)
- 同上:12〜14歳の一般学級児童
E(Exposure)
- いじめ行動への反復的関与
- 特に「自己が加害しているという主観的経験」
C(Comparison)
- いじめに関与しない/関与が減少した児童
- vs
いじめを新たに始めた/継続している児童
O(Outcome)
- 道徳的無効化の水準とその変化
- 結果のポイント:
- ✅ いじめの増加 → 道徳的無効化の上昇
- ✅ いじめの中止 → 道徳的無効化はすぐには下がらない
- ❌ 全体平均では「急激な上昇」は見えにくい
→ 群別で見ると差が顕在化
PECO的結論
道徳的無効化は
いじめの結果であると同時に、次のいじめの原因にもなる
(相互強化・悪循環)
🔑 この論文のPICO/PECOで一番重要な示唆
❗ エスカレーションの本質
- 「いじめがエスカレートする」の正体は
暴力性の増大ではなく
“悪いと思わなくなる心の変化”の蓄積
🎬 1論文1動画向け・要約フレーズ(そのまま使えます)
いじめは、やっているうちに
『自分は悪くない』と感じる力を強くしてしまう。
だから自然には止まりにくい。







ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません