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日本に100万人いるサイコパスを見抜いて自分と家族を守りたい

2025年10月13日

サイコパスについて調べようと思ったきっかけ

昔、精神科の国試の勉強をしたときに、参考書[2]に「境界性人格障害は治らないので、治療は不可能。」と書いてあったので、「世の中には関わってはいけない人がいて、それを見抜かなければならない」とうすうす感じていました。

しかし、今は「多様性を認めよう」という声が世の中で大きく、終身雇用制度も崩壊するのではないかと言われており、仕事でも初めて出会った人と一緒に働くことが、以前よりも増えると思われます。

また、子どもが小学校に上がって、周囲の子どもとけんかをしたり、良くも悪くも影響を受けることが出てきました。

なかには、明らかに、「なんか変だぞ」と思うような行動をする子どもがいたりしたことを最近思い出しました。サイコパスや人格障害の他の子どもや、ママ友パパ友から、我が子や自分自身を守るために、「なるべく関わってはいけない人と、その見抜き方、対処法」について調べてみたくなり、「サイコパス」に関する本を読んでみたので、まとめてみたいと思います。

サイコパスとは良心と共感力が無い人

サイコパスとは、共感力と良心が欠如した人のことです。アメリカ精神医学会発行のDSM-5には、サイコパスという精神疾患は記載されておらず、2025年時点では、心理学用語としてサイコパスという言葉が使われています。

サイコパスはアメリカでは人口の約4%、日本では約1%いると言われていますが、特に、CEO、弁護士、営業、外科医、警察官/軍人、聖職者(牧師・宗教指導者)に多いと言われています。(イギリスの心理学者ケヴィン・ダットンの調査)

サイコパスは、表面的には魅力的ですが、共感や罪悪感が一切なく、嘘やごまかしを平然と使い、自己の利益のために計画的に他人を利用します。失敗しても反省せず、同じ行動を繰り返します。

有名なサイコパスとして、映画「ハンニバル」の冷静凶悪殺人者レクター博士、元アップル社CEOのスティーブ・ジョブズがよくサイコパスだったのではないかと言われています。

冷静にニヤけながらゆっくり人を傷つける凶悪連続殺人犯サイコパスのイメージが多いと思います。

それ以外にも、恐怖感がなく計画的であるためプレゼンテーションが超得意で魅力的、しかし、共感力がないため、自己の利益のために他人を利用して、自分の役に立たなくなったらポイ捨てする敏腕CEOも、サイコパスです。

反社会性サイコパスと、向社会性サイコパス

サイコパスは、詐欺師、連続殺人犯、暴力的な犯罪者などの「反社会性サイコパス」と、外科医、軍人、CEOなどの「向社会性サイコパス」の2タイプに分類されることがあります。

「反社会性サイコパス」は、サイコパスの中でも社会的ルールや他者の権利を軽視・無視する傾向が強いタイプです。
つまり、「良心も理性も抑えが効かないサイコパス」です。

特徴として

  • 自分の欲求や快楽のために、他者を平然と利用・傷つける。
  • 嘘・詐欺・暴力・犯罪行為に走る傾向がある。
  • 感情が浅く、罪悪感を感じにくい。
  • 短期的な快楽を追い、衝動的に行動する。
  • 他人の苦しみに全く関心がないか、むしろ楽しむこともある。

例としては以下が挙げられます。

  • 詐欺師、連続殺人犯、暴力的な犯罪者。
  • 組織内で他人を利用し、責任を押し付けて利益を独占するタイプの経営者(ブラック企業型)。
  • 感情を装って他人をコントロールするタイプのマニピュレーター。

これに対し、「向社会性サイコパス」は、共感性の欠如や感情の浅さといったサイコパス的特性を持ちながらも、社会的・倫理的な行動規範に従って生きるタイプです。
つまり、「良心は弱いが、理性と社会的ルールで自制できるサイコパス」とも言えます。

特徴として

  • 他人の感情を直感的には理解できないが、論理的に社会的ルールを学び、適応する。
  • 道徳心というより、「合理性」や「長期的な利益」で行動を選ぶ。
  • 高い冷静さ・判断力・ストレス耐性を持ち、リーダー職や危機対応職(外科医、弁護士、軍人など)で成功しやすい。
  • 他人を操作する傾向はあるが、その目的が社会的に肯定的であることも多い。
  • カリスマ性・決断力・感情に流されない性格が、社会では有利に働くことがある。

例としては以下が挙げられます。

  • リスクを恐れず、冷静な判断で命を救う外科医。
  • 感情より合理性で部下を導くリーダー。
  • 自分の利益だけでなく、「社会の秩序」や「チームの成功」のために冷徹な決断を下す人。

もともと、遺伝子的にサイコパスの素質が持っている人が、反社会性サイコパスになるか、それとも向社会性サイコパスになるのかは、「どんな環境で育つか」が関わっているという説もあります。その説によると、

反社会性サイコパスに傾くケース

  • 幼少期に虐待・放置・暴力的な家庭環境
  • 周囲に信頼できる大人や共感的ロールモデルがいない
  • 強いストレス環境で「支配」や「攻撃」が生き延びる手段になった

向社会性サイコパスに傾くケース

  • 幼少期に明確なルール・倫理観・目的意識を教えられる
  • 高い知能や自己統制があり、社会的成功を報酬として感じる
  • 感情鈍麻を冷静さ・判断力・リーダーシップに活かせる環境

つまり、「恐怖を感じにくい」素質を、他人を利用して支配する方向に使うか、リスクを取って成功する方向に使うかを決めるのは、育ちと社会の文脈だということです。

【特徴】

比較項目向社会性サイコパス反社会性サイコパス
社会適応高い(秩序を守る)低い(秩序を壊す)
行動基準理性・合理性欲求・衝動
他者への態度利用するが傷つけないことも利用し、平気で傷つける
社会的評価尊敬されることもある非難される、犯罪者になる
感情制御強い弱い
代表例外科医・軍人・CEO詐欺師・暴力犯・破壊的リーダー

サイコパスの診断基準

出典:サイコパスの真実 2018

上述のように、2025 年時点でDSM-5には、サイコパスの定義というものはありません。しかし、一般的には、Hare Psychopathy Checklist-Revised(PCL-R)という、心理学者ロバート・ヘアが開発した診断ツールで、40点満点のチェックリストが有名です。臨床や犯罪心理学の研究で用いられています。

各項目を0〜2点で評価し、30点以上がサイコパス傾向が強いとされます(北米基準)。

サイコパスは魅力的なことが多く、気づくのは困難、気付いたときに人生崩壊

魅力的なサイコパスといえば、元アップル社CEOのスティーブ・ジョブズが「サイコパスではないか」と一部で言われています。その根拠は、彼のリーダーシップスタイルや対人関係の特徴が、心理学的にサイコパシーの特徴と重なる部分があると考えられるからです。彼の生涯は、上の漫画で読むことができますが、共感性の欠如と冷徹な判断、魅力とカリスマ性、操作性と支配欲、感情表現の極端さ、リスク志向と大胆さは、サイコパス的ともいえます。彼が人類の発展に寄与した功績は多大で素晴らしいことは間違いないですが、上の伝記を読んでみると、できれば一緒に仕事はしたくない人ではあると、割と多くの人が思うのではないでしょうか?

サイコパスは、自分が良心が無い人間であることを隠して、ターゲットとした人に近づきます。

サイコパスはスペクトラム

共感力、良心が全く無い人をサイコパスと呼ぶことが多いですが(PCL-Rで30点以上)、共感力、良心が、全く無いと言わないでも、低い人も世の中には存在し、サイコパス度が高い人から低い人まで、スペクトラムのように分布しているというのが、ここ最近は一般的な見解だそうです。

完全にサイコパスでなくても、ある程度サイコパスっぽい人は、避けた方が、自分の身を守ることになります。

サイコパスについて知るためのお勧めの本3冊

サイコパスがいったいどんな人なのか、サイコパス以外の人には、かなりイメージがしづらいです。どんな人なのかイメージするためには、本当にたくさんのサイコパスの物語を読む必要があります。りさおは、サイコパスが何かを知るために、最初に、以下の3冊を読んでみました。

最初に「まんがでわかる 隣のサイコパス」を読んだときは、は、「なんだか気持ち悪いだけで、サイコパスがどんな人なのかよくわからない」といった感想でしたが、その後、サイコパスに関する本を10冊ほど読んだあとに、またこの漫画を読み直すと、「なるほど、サイコパスの思考はこんな感じなのだな。」と納得することができました。

サイコパスの脳

サイコパスの見分け方:マニピュレーターのよくとる手段

マニピュレーター(Manipulator)とは、他人の感情や認知を巧みに利用して、自分に有利な行動を取らせようとする人物を指します。

この操作は多くの場合、相手に気づかれないように行われ、罪悪感・不安・同情・愛情などの感情を利用して、相手を心理的に支配し、自分の目的を達成しようとします。

マニピュレーターは、全てサイコパス(共感力、良心が無い人)という訳ではないのですが、サイコパスは、よく、他人を操作して自分の都合の良いように行動させようとしますので、マニュピレーター対策は、そのまま、サイコパス対策となりえます。「他人を支配したがる人たち:身近にいる「マニピュレーター」の脅威」によると、マニピュレーターは、以下のような行動をとると書かれています。

  1. 矮小化:自分のやったことなど取るに足りないものに見せかけようとする[1]。「少しは」「だけ。」発言例。「小突いただけで、怪我などさせてはいない」。
  2. 虚言:息をするように堂々と嘘をつく。明らかに嘘とわかるときでさえ、彼らはためらうこともなくそれを口にしている[1]。また、話のポイントや全体像の理解に不可欠な事実を「言い忘れる」ことで相手をだますこともあります[1]。
  3. 否認:悪意から人を害し、あるいは傷つけるような行為におよんだのが明らかにもかかわらず、攻撃した本人がその事実を認めるのを拒む。
  4. 選択的不注意:相手の警告や申し立て、願いをわざと無視する。逆に、例えばADHD(注意欠陥多動性障害)の子どもでは、人間関係を操作したり、責任を回避したりする方法として、過剰な「選択的注意」を利用することもある。
  5. 合理化
  6. 話題転換:話題をすり替え、問題をはぐらかす。投げかけた質問に対して率直な返事がないとき、なんらかの理由で相手は自分を煙に巻こうとしていると考えて差し支えはない。
  7. はぐらかし
  8. 暗黙の威嚇:微妙でもってまわった、それとははっきりとわからない脅しをおもに用いて威嚇する。威嚇は、それと明確にわかる威嚇、わからない威嚇にかかわらず、人を操作する手段としては効果的。
  9. 罪悪感を抱かせる
  10. 羞恥心を刺激する:さり気ない皮肉やあてこすりで相手の不安をかきたて、その自信にゆさぶりをかけていくという策略。相手の劣等感をあおるには効果的な戦術。
  11. 被害者を演じる:相手の同情を得ようと、意図して不運な人間や人に傷つけられた被害者を演じ、それによって相手の感情をかきたて、目的とするものを手中におさめようという策略。
  12. 犠牲者を中傷する
  13. 忠実なる下僕(しもべ)を演じる:他人のために一心不乱に働いていると見せかけることで、ひそかに抱いている力への渇望や野心、他者を支配する地位を手にしたいという下心を隠すこと。
  14. 人をそそのかす
  15. 責任を転嫁する(他人のせいにする)
  16. 無実を装う
  17. 無知を装う、混乱を装う:しらばっくれることによって、自分に向けられた相手の詰問の正当性を疑うようにしむける。
  18. これ見よがしに威嚇する

しかし、マニピュレーターは、上のような行動を、被害者に気づかれないように巧妙にやってのけるので、気付いたときには被害者は心身ともにズタボロのことが多いのです。そして、上記のような行動をとるマニピュレーター対策として、以下のようなことが挙げられます。

マニピュレーター対策

他人を支配したがる人たち:身近にいる「マニピュレーター」の脅威」 には、マニュピレーター対策として、以下の具体的な方法が述べられています。

まず、「人間は基本的に同じで誰もが良心を持つという誤解から自由になる」ことが大前提となります。マニュピレーター(またはサイコパス)は、良心が無いので、他人の心を傷つけても、自分の心は全く痛みません。

その上で、マニュピレーターにつけこまれやすい性格を自分は持っていないか確認しておきます。マニュピレーターにつけこまれやすい人格として、以下があります。

  1. 過剰にナイーブである
  2. 過剰に良心的である
  3. 自信に乏しい:「自己肯定感が低い」に近いかもしれません。
  4. 理詰めでものごとを考えすぎる:他人の行動の理由を考えすぎるあまり、誰かが自分に攻撃を加えて優位な地位を得ようとしている事実に気づかない
  5. 依存感情:服従的で、ひとり主体的に行動することに恐怖を感じている

このような人格が自分にあるか把握した上で、以下のような行動が、マニュピレーターから自分の身を守る方法として、有効な可能性があります。

  1. 展開を読んで手を打っていく:例えば、息子が「もう我慢できない」「学校なんてやめてやる」(犠牲者を演じながら暗に母親を威嚇)と口にしたとき、「この子はいま、自分の好き勝手のために私に挑んでいるのだ。自分こそ傷ついているというふりをして、母親の私を混乱させようとしている」可能性も考慮に入れた上で行動する。
  2. 負け試合には手を出さない
  3. 自分の得意にエネルギーを注げ
  4. 言い訳を聞き入れない:攻撃行動や攻撃性を潜在的に秘めた行為、あるいはいかなる不適切な行動について、相手がどのような理由(いわゆる合理化)を口にしてもそれに耳を貸してはいけない。
  5. 意図ではなく行動で判断する:相手がこの先どんな行為におよぶかは、相手が過去においてどのような言動をしてきたかを知ることによってのみ正確に判断することができる。例えば、子育てにおいて、自分の思い込みにしたがい、娘の内心にばかり注意を向けていたことで、娘が自分に攻撃を加えているという事実にただちに気がつけないという場合がある。
  6. 個人的な限界を設ける:相手の行為に対して、どの程度までなら許容でき、それを超えたら反駁するとか、関係を清算するなどと決めておく
  7. はっきりと要求する:頼みごとをするときは、自分が何を望んでいるのかはっきりと相手に伝える。かならず「私は」と語るようにして、曖昧な言い方を避ける。
  8. ダイレクトな返事だけを受け入れる
  9. 集中力を保って目の前の問題を考える
  10. 相手を問いただすときには責任を突きつける
  11. あざけりや憎しみ、露骨な非難は避ける
  12. 脅迫するような真似は避ける
  13. 行動は素早くおこす
  14. 自分の考えを話す
  15. 妥当な合意を結ぶ:できもしない同意は交わしてはならない。双方にメリットをもたらす〈ウイン-ウイン〉の提案にできるだけもちこむように試みる。
  16. 相手の反撃に備える
  17. みずからに対して正直であれ:どのような状況においても、自分が本当に欲するもの、本当に求めているものを自覚するよう努力する
  18. 自信に満ちて生きる

これらの対策は、以下の場合も有効です。

  • 会社でのサイコパス対策(上司、同僚、部下)
  • 家族にサイコパスがいたら(親、兄弟、夫、妻、子ども)

しかし、サイコパスは良心が欠如しているため、大前提として、

が最良選択となります。非常に苦しい選択ですが、会社であれば転職を、夫婦であれば離婚を、親子であれば、20歳以上になったら離縁を考慮すべき事態です。

サイコパス対策は難しすぎる――では、他に方法はないのでしょうか

ここまで見てきたような、

  • サイコパスを見分ける方法
  • サイコパスに対処する方法

を実践するのは、覚えることが多く、現実的には不可能に近いと言えます。そもそも世の中には、サイコパス以外にも、できる限り関わらないほうが良い人物が数多く存在します。

それならいっそ、「相手の性格に応じて対策する」のではなく、

「自分自身の心の持ち方を整える」ことで、サイコパスであろうと境界性パーソナリティ障害の人であろうと、惑わされずに自分の人生を幸せに歩んでいけるようにする方が有効なのではないか、と考えました。

そのための具体的なアプローチとして、私は以下の2つの考え方が有効だと思います。

  • アドラー心理学
  • ブッダ(仏陀)による原始仏教

このどちらかをしっかり身につければ、たとえ周囲にサイコパスやその他の危険人物がいたとしても、揺さぶられずに幸せに生きていけるように思います。それぞれの考え方がどのようにサイコパス対策になり得るのか、ChatGPTに相談しながら整理しましたので、以下にまとめてみます。

アドラー心理学によるサイコパス対策

アドラー心理学(Adlerian Psychology)は、オーストリアの精神科医アルフレッド・アドラー(Alfred Adler, 1870–1937)が提唱した心理学です。内容に関しては、「マンガで分かる心療内科 アドラー心理学編 」が非常に分かりやすいです。

アドラー心理学を実践する人がサイコパスと遭遇した場合、基本的には「自分の課題」と「他者の課題」を分けて考え、巻き込まれないように対処することが中心になります。サイコパスはしばしば他者を操作し、自分の利益のために利用しようとしますが、アドラー心理学の実践者はその影響を最小限にとどめることを意識します。

1. 課題の分離

アドラー心理学では「誰の課題か」を明確にすることが大切です。サイコパスの言動や問題行動は「相手の課題」であり、自分が責任を負う必要はありません。自分が守るべきは「自分の課題」すなわち、自分の安全・健康・尊厳です。

→ 巻き込まれて相手の課題を背負わないことが第一歩です。

2. 操作に対して「無反応」を選ぶ

サイコパスは承認欲求や支配欲で他人を動かそうとします。アドラー心理学の立場からは、「相手の期待に応えない」「承認を求めない」という態度を貫きます。これは「課題の分離」ともつながっており、相手の操作に感情的に反応しないことで自分を守ることができます。

3. 自分の共同体感覚を守る

アドラー心理学の核は「共同体感覚(社会と調和して貢献し合う感覚)」です。サイコパスとの関係はこれを脅かします。無理に理解し合おうとせず、安全な人間関係(家族・仲間・コミュニティ)に自分を置く。必要なら専門家や第三者の支援を求め、孤立しない。

→ 「健全な共同体」に軸足を移し、自分を孤立させないことが重要です。

4. 明確な線引きと距離

アドラー心理学の実践者は「勇気づけ」を重視しますが、サイコパスに対しては勇気づけではなく境界線が必要です。関わりを最小限にする(No Contact / Low Contact)。利用されないように契約や記録を残す。安全が脅かされる場合は法的措置も選択肢にする。

→「優しくする」ことと「利用される」ことを混同しない姿勢が大切です。

まとめると、アドラー心理学を実践する人がサイコパスに遭遇したときは、相手をサイコパスと認識しているか、認識していないかに関わらず、以下のように行動できる可能性が高いので、アドラー心理学を実践すれば、おのずとサイコパス対策となります。

  1. 相手の問題は相手の課題と切り離す
  2. 操作に乗らず、無反応を選ぶ
  3. 自分の共同体感覚を守り、安全なつながりに依拠する
  4. 境界線を明確にし、必要なら距離をとる

原始仏教(仏陀の考え方)でサイコパス対策

原始仏教は、紀元前5世紀ごろにインドでゴータマ・シッダールタ(ブッダ)が始めた仏教の最初期の形です。ブッダと言えば、Apple Watchにもある「マインドフルネス」が有名ですが、りさおは最近、「反応しない練習 あらゆる悩みが消えていくブッダの超・合理的な「考え方」」を読み、「原始仏教すごい!この本に書いてある考え方を身につけることができれば、幸せに生きることもできるし、そのままサイコパス対策にもなる!」と思いました。

「原始仏教を実践する人」がサイコパス的傾向を持つ人物と遭遇した場合、考えられる対処法は以下のように整理できます。

1. 自他を守る ― 慈悲と智慧のバランス

原始仏教の中心には「慈悲(メッター/カルナー)」がありますが、それは無防備に相手に従うことではなく、自他をともに害から守ることを含みます。サイコパスは他者を操作したり搾取する傾向があるため、慈悲の実践者はまず 自分を守る智慧(paññā) を働かせ、距離を取ることが推奨されます。「自分の心を乱さない」ことが第一義であり、同時に「相手の悪意に対して憎しみで返さない」態度を保つことが大事です。

2. 執着せず、巻き込まれない

ブッダは「悪を悪で返すな、憎しみは憎しみで鎮まらない」と説いています。サイコパスに対して怒りや報復心を燃やすと、結局は自分の心を傷つけます。相手の言動に「巻き込まれず」、相手の性質を「因果の結果」として観察する(=業の理解)。このように、相手を「危険な存在」と見極めつつ、そこに執着しない態度が取られます。

3. 実際的な行動指針

原始仏教の戒(シーラ)に基づけば、具体的には次のような行動が考えられます。

1. 接触を最小限にする:サイコパスの影響を避けること自体が智慧ある行為。
2. 真実を歪めず、誠実に振る舞う:嘘や操作で対抗しない。自分は清浄な言葉(正語)を守る。
3. 共同体や第三者に相談する

出家者も在家者も、危険な人物に対してはサンガや信頼できる人に助けを求めることを大事にしました。

4. 心の修習で自分を守る

サイコパスに接した後は、慈悲の瞑想や安般念(呼吸の観察)で心を落ち着ける。

まとめると、原始仏教を実践する人がサイコパスに遭遇したときは、相手をサイコパスと認識しているか、認識していないかに関わらず、以下のように行動できる可能性が高いので、原始仏教の考え方を実践すれば、おのずとサイコパス対策となります。

  1. 慈悲と智慧を両立させ、心を乱さず、しかし安全のため距離を取る
  2. 憎しみで返さず、因果の理解をもって観察する
  3. 社会的には逃げる・相談するなど現実的な安全確保を最優先する

このように、内面では慈悲、行動では智慧 が基本的な対処法となります。

自分がサイコパスだったら

サイコパス・インサイド」は、サイコパス凶悪犯罪者のPET画像の研究をしていた脳科学者が、自分のPET画像を見て、初めて、自分自身がサイコパスであることに気づいたというお話です。なお、この脳科学者は、サイコパスに躁うつ病を合併していたようです。このように、精神疾患は、複数の疾患を合併することが多い傾向があると思われます。

日本でも人口の1%がサイコパスであり、サイコパスは自分自身がサイコパスであると気づきにくいとも言われていますので、この記事を書いているりさお自身もサイコパスである可能性は否定できません。

サイコパスは、自身の共感力が無いこと、良心が無いことで自分自身が困っていないので、自分から精神科を受診することはありませんし、治療の対象になることはほぼありません。凶悪犯罪を犯して精神鑑定を受けたり、刑務所内で矯正プログラムを受けるときのみ精神科治療の対象となりますが、再犯率予防効果は低いどころか、矯正プログラムを受けると再犯率が上がってしまった例もあるほどです。

ただ、もし、自分のPCL-R(ロバート・ヘアのサイコパスチェックリスト)の点数が高い(サイコパス度が高い)と思ったら、

  • 犯罪を犯して自分が刑務所に入らないように、法律を遵守する

ことだけは、注意して生きていった方が、自分自身のメリットになりそうです。

サイコパスと似ている疾患

サイコパスと似ている、または、一部重なる疾患、用語として、以下のものが挙げられます。それぞれ簡単に説明します。

  1. ソシオリスト:一般的にはサイコパスとほぼ同義ですが、ニュアンスとして、サイコパスは生得的要因が強く(脳機能や遺伝的基盤)、ソシオパスは環境要因が強い(虐待や社会的環境による形成)と言われています。ソシオパスは突発的で感情的な反社会行動を取りやすく、サイコパスは冷徹で計画的な傾向があるとされます。
  2. ナルシシスト(自己愛性パーソナリティ障害, NPD):過剰な自尊心、賞賛欲求、共感の乏しさ、他人を利用する傾向のあるパーソナリティ障害です。表面的には自信に満ちて見えますが、内面は脆弱で批判に過敏です。サイコパスと同様に他人を利用し、共感が乏しく、支配的ですが、相違点として、ナルシシストは承認欲求や自己イメージ維持が中心であり、サイコパスほど冷酷で計算高くはないです。
  3. マキャベリスト:冷酷な戦略性、道徳を無視した計算高さ、権力追求、操作的行動が特徴的です。出典はマキャベリの『君主論』。サイコパス同様に冷酷で操作的です。サイコパスは衝動性が強いが、マキャベリストは長期的な計画性と戦略性に優れると言われます。
  4. ASD(自閉スペクトラム症):神経発達症(neurodevelopmental disorder)であり、パーソナリティ障害とは別領域の疾患概念です。特徴は 社会的コミュニケーションの困難、こだわり行動、感覚過敏や鈍麻。道徳心や良心の欠如ではなく、相手の意図を理解する「認知的共感」の難しさが中心。サイコパスと同様、共感の乏しさに見えることがありますが、ASDは悪意や操作性はなく、むしろ誠実でルール重視です。また、サイコパスのように意図的に他人を操るようなことはしません。
  5. 境界性パーソナリティ障害(BPD):感情の不安定さ、見捨てられ不安、対人関係の極端さ、衝動性、自傷行為のリスクを特徴とするパーソナリティ障害。「境界性」とは、かつて神経症と精神病の境界にあると考えられたため、このような病名となりました。サイコパスと同様、衝動性が強く、対人関係でトラブルを生みやすいです。境界性パーソナリティ障害では、他人を操作するというより、強烈な不安と依存から混乱を起こします。サイコパスの冷酷さや計算高さとは正反対です。

サイコパスに学ぶ成功法則

優秀な外科医・軍人・CEOなどにサイコパスが多いと言われる根拠と、サイコパスではない人が、サイコパスのように行動することによって、ビジネスなどで成功する確率を上げる方法について解説してあります。著者のうちの一人は、イギリスの元軍人で、特殊部隊にいた経験があるサイコパスだそうです。

参考文献

  1. 他人を支配したがる人たち:身近にいる「マニピュレーター」の脅威 2014 : 良心のある神経症と、良心のないパーソナリティ障害という対比が面白かったです。
  2. 精神科 (国試マニュアル100%シリーズ) 2011


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