テストで100点にご褒美はダメ!!◯◯にご褒美で成績アップ!
前回は以下
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この論文を読んだきっかけ

りさおがEBE(Evidence Based Education、科学的証拠に基づく教育)に興味を持つきっかけとなったのが、『「学力」の経済学』という本の漫画版でした。こちらの本に、
ニューヨークで莫大なお金を投じて、テストの点数と、本を何ページ読んだ過程とどちらにお金をあげたら生徒の成績が伸びたか調べたら、読書グループの方が成績が上がった!
みたいな論文の紹介が載っていたので、元論文を探してみました。なお、2025年に、2024年に、上の本の最新版の、『科学的根拠(エビデンス)で子育て 教育経済学の最前線』も出版されています。
論文の題名とリンク

Fryer R. Financial Incentives and Student Achievement: Evidence from Randomized Trials. Quarterly Journal of Economics. 2011;126 (4):1755–1798.
金銭的インセンティブと生徒の学力:ランダム化比較試験による証拠
NotebookLMによる解説















PICO/PECO
① PICO(介入研究としての厳密整理)
この論文は
👉 教育経済学における「介入効果の因果推論」
👉 RCT(ランダム化比較試験)
として設計されています。
🔷 P(Population:対象)
アメリカ都市部の公立学校に通う児童・生徒
- 総数:約 27,000人
- 学年:
- 小学2年生(ダラス)
- 小学4年・中学1年相当(NYC)
- 高校1年(シカゴ)
- 特徴:
- 低所得層が多い
- 人種的マイノリティ比率が高い
- 学力水準は全米平均より低い
📌 重要な限定
- エリート層・中間層は含まれない
- 「教育格差是正」を目的とした集団
🔷 I(Intervention:介入)
金銭的インセンティブ(短期報酬)
ただし「一種類」ではない点が極めて重要。
| 都市 | インセンティブの対象 |
|---|---|
| ダラス | 読書量(本を読んで理解テスト合格) |
| NYC | 標準化テストの得点 |
| シカゴ | 通知表の成績(GPA) |
📌
- すべて 学校単位でランダム化
- 介入期間:1学年間
- 親・教師・生徒に十分説明された制度
🔷 C(Comparison:比較)
金銭的インセンティブを与えない学校(通常教育)
- 同じ地域
- 同じ学年構成
- 同じカリキュラム
- 唯一の違いが「金銭的報酬の有無」
👉 内部妥当性は非常に高い
🔷 O(Outcome:主要アウトカム)
主要アウトカム(一次)
- 標準化学力テストの得点
- 読解
- 数学
副次アウトカム(二次)
- 成績(GPA)
- 単位取得数
- 出席率
- 自己申告による努力
- 内発的動機づけ(Intrinsic Motivation Inventory)
📌
- 「内発的動機づけが下がるか」を正式に測定している点が非常に重要
🔷 PICOまとめ(結論)
PICOとしての結論
金銭的インセンティブは、
学力アウトカムを安定して改善しなかった
※ 例外:
- 低学年 × 読書 × 英語話者 では正の効果あり
② PECO(行動科学・子育て応用としての再構成)
ここからが EBEチャンネルとして最重要です。
論文そのものは「金銭報酬」ですが、
親が使うべき枠組みは PECO です。
🔶 P(Population)
家庭で学習を行う子ども
- 特に:
- 低〜中学年
- 学習方略が未成熟
- 「どう頑張ればいいか」が分からない段階
🔶 E(Exposure:推奨される働きかけ)
アウトカムではなく「インプット行動」への強化
例:
- 読書した
- 宿題に取り組んだ
- 分からない所を質問した
- 学習時間を確保した
📌
- 行動が 具体的・可視的
- 子ども自身が「何をすればよいか」理解できる
🔶 C(Comparison:避けるべき対照)
アウトカム(結果)への強化
例:
- テストの点数
- 成績順位
- 偏差値
- 合否
📌
- 結果は:
- ノイズが大きい
- 子どもが制御できない要因を含む
- 行動との対応関係が不明確
🔶 O(Outcome)
- 学習行動の定着
- 学習スキルの蓄積
- 習慣形成
- 結果としての学力向上(中長期)
📌
短期アウトカムより、長期トラジェクトリが重要
🔶 PECOの核心メッセージ
❌ 結果を操作しようとするな
⭕ 行動を設計せよ
③ PICO と PECO の決定的な違い(EBE向け整理)
| 観点 | PICO | PECO |
|---|---|---|
| 目的 | 因果効果の検証 | 実践原理の抽出 |
| 視点 | 研究者 | 親・教育者 |
| 焦点 | 金銭報酬の効果 | 行動設計 |
| 強化対象 | 結果 or 行動 | 行動のみ |
| 時間軸 | 短〜中期 | 中〜長期 |
④ 動画で必ず強調すべき「EBE的結論」
この論文が否定したのは:
- ご褒美そのもの ❌
この論文が支持したのは:
- 「行動が分かる設計」
- 「努力のブラックボックスを壊すこと」
🎯 視聴者に伝える一文(要約)
子どもはサボっているのではない。
何を頑張ればいいか分からないだけ。






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