小中高インターナショナルスクール(非一条校)卒業後に日本の大学を普通に受験するためには、中卒認定試験、高卒認定試験(大検)の受験が必要
幼稚園までは、英語のインターナショナルスクール(2023年時点で全国で約1,600校)[1]に行く方は、割と多いと思います。問題は、小学校以降、インターナショナルスクールに通学するかどうかですが、「一条校」という、国または自治体に「小学校」「中学校」として認可された学校に子供を通学させないと、親として、学校教育法に違反することになってしまいますし、大学は日本の大学に行きたいと子どもが言い出した場合に、手続きがかなり面倒になってしまうし、インターナショナルスクールは学費も高いので、現時点では、多くの方が小学校からは公立小学校へ通学しているのが現状だと思います。
しかし、実際には、日本でインターナショナルスクールに通学している日本人の方もいます。りさおの場合、りーたんが(6歳)が、幼稚園のお友達のお兄さんが通学しているインターナショナルスクール(小学校、非一条校)にどうしても通学したいと希望したので、調べてみました。
Contents
- 1 義務教育期間中に、子を「非一条校」に通学させることは、親が法律違反をすることになる(2024年時点)(教育基本法、学校教育法)
- 2 2017年施行の「教育機会確保法」で不登校生徒に学校(一条校)以外の学びの場を提供する法的根拠ができた
- 3 対策その1:一条校のインターナショナルスクールに通学する
- 4 対策その2:「中学校卒業認定試験」と「高等学校卒業程度認定試験」に合格する
- 5 対策その3:IB認定校(またはA Level)を卒業して、IB(またはA Level)入試をやっている日本の大学を受ける
- 6 対策その4:IB認定校(またはA Level)を卒業して、海外の大学を受けて留学する(早めに奨学金について要確認)
- 7 子どもを小学校のインターナショナルスクールに通学させたなら、小学校高学年頃に、大学以降の進路について子どもとしっかり話し合う必要あり
- 8 リンク
義務教育期間中に、子を「非一条校」に通学させることは、親が法律違反をすることになる(2024年時点)(教育基本法、学校教育法)
「義務教育」関連の法律で、以下のようなものがあります。
- 「国民は、その保護する子に、別に法律で定めるところにより、普通教育を受けさせる義務を負う。」(教育基本法 第五条)
- 「保護者は、次条に定めるところにより、子に九年の普通教育を受けさせる義務を負う。」(学校教育法 第十六条)
- 「教育機会の確保等に関する施策は、次に掲げる事項を基本理念として行われなければならない。」「四 義務教育の段階における普通教育に相当する教育を十分に受けていない者の意思を十分に尊重しつつ、その年齢又は国籍その他の置かれている事情にかかわりなく、その能力に応じた教育を受ける機会が確保されるようにするとともに、その者が、その教育を通じて、社会において自立的に生きる基礎を培い、豊かな人生を送ることができるよう、その教育水準の維持向上が図られるようにすること。」「五 国、地方公共団体、教育機会の確保等に関する活動を行う民間の団体その他の関係者の相互の密接な連携の下に行われるようにすること」(教育機会確保法 第三条)
上記法律により、親は、子に、学校教育法第一条に規定されている小学校、中学校(いわゆる「一条校」)に通学させる義務があります。そのため、上記の新宿区のように、「日本国籍をお持ちのお子様をインターナショナルスクール等に通わせることで、就学義務違反となります。すぐに学校教育法第1条に規定する学校に就学(入学)してください。」(2024年時点)と記載されていると、親としてはビビってしまいます。不安要素としては、
- インターナショナルスクールに通い始めた後、小学生や、中学生など、途中で通学できなくなったときに、公立小学校や公立中学校へ転入できるのか?(→地元の教育委員会へお願いすればできるはず。)
- インターナショナルスクールの高校まで卒業した後、日本の大学を受験することはできるのか?
の2つがあります。しかし、調べたところ、対策はありそうです。
2017年施行の「教育機会確保法」で不登校生徒に学校(一条校)以外の学びの場を提供する法的根拠ができた
しかし、以前、不登校の悩み解決のヒントは、子どもの『居場所』を作って『いま、やりたいことをやる』!?の記事を書いたときに、2016年に教育機会確保法が施行され、国の不登校支援方針として「登校を目標にしない」を明記した後、上図のように、不登校児童生徒数が激増していることを知っていた私は、上記の新宿区の記載に違和感を覚えました。小学校約10万人(1.7%)、中学校約19万人(5.98%)[3]もいる不登校の生徒の行き場として、フリースクール(一条校ではない、私的な学校や塾など)が多くなっており、本来所属している小学校の校長先生の許可があれば、出席単位は所属している小学校で取得して、卒業するという方法も一般的になっているとのことです[不登校でも学べる 学校に行きたくないと言えたとき(2022年) ]。
であれば、そのフリースクールの一つとして、インターナショナルスクールがあってもよいのでは?なんて自分勝手な考えも出てきてしまいます。もちろん、どんなスクールでもよいというわけではなくて、たとえば、
- 国際バカロレア
- ケンブリッジAレベル
の認定校であって、さらに、子どもが行きたいと言えば、可能であれば通学させてあげてもよいのではと個人的には思いました。国際バカロレアとケンブリッジAレベルについては、こちらのサイトの説明がわかりやすいです。
それでも不安だったので、
- 日本で
- 日本国籍の子が
- インターナショナルスクール(6歳~18歳)に通学して
- 日本の大学を受験したいと思った場合
どのような方法があるのか、また、6歳の入学時点でどのような選択肢があるのか、調べてみました。以下の4つがありそうです。いろいろ例外もあるので、参考までに見ていただけましたら幸いです。
- 一条校のインターナショナルスクールに通学する
- 「中学校卒業認定試験」と「高等学校卒業程度認定試験」に合格する
- IB認定校(またはA Level)を卒業して、IB(またはA Level)入試をやっている日本の大学を受ける
- IB認定校(またはA Level)を卒業して、海外の大学を受けて留学する
対策その1:一条校のインターナショナルスクールに通学する
一条校のインターナショナルスクールは2024年時点で全国に少なくとも29校はあるようです[一条校のインターナショナルスクール、オルタナティブ教育小学校まとめ]ので、そちらの学校へ通学すれば、親が法律違反をすることにもなりませんし、卒業すれば、通常通り、大学受験可能です。東京都内ですと、東京都立立川国際中等教育学校附属小学校がなんと都立ですから、学費もおそらく、激安なのではないでしょうか?しかし、多くのインターナショナルスクールは、一条校に認定されていませんので、卒業しても、通常の日本の大学受験資格がありません。
なお、上記の、東京都立立川国際中等教育学校附属小学校の入学試験の倍率が男女ともに約23倍(2024年4月入学)ですので、これ、受かる気がしませんね。なお、一次試験は倍率3.4倍の「抽選」です。
対策その2:「中学校卒業認定試験」と「高等学校卒業程度認定試験」に合格する
6歳から18歳まで、非一条校(国や自治体の認定を受けていないインターナショナルスクールなど、一部の国際バカロレア(IB)認定校、Level A認定校を含む)に通学する場合、面倒ですが、以下の方法で、日本のほぼすべての大学を受験する資格を得ることができます。
- 15歳になったら、住んでいる自治体の教育委員会に、「中学校を卒業できないと見込まれることについてやむを得ない事由がある旨の証明」を記載してもらう(→こちらのページから、各年の受験案内ページへ行けば、証明書のPDFファイルをダウンロードできます。また、教育委員会の連絡先は、東京都では、区役所などの代表電話番号にはなりますが、区市町村教育委員会所在地等一覧のページに記載されています。)
- 上記証明書をもって、「中学校卒業認定試験」を受けて、合格する。
- さらに、18歳になったら、「高等学校卒業程度認定試験」を受ける。
「中学校卒業認定試験」と、「高等学校卒業程度認定試験」に合格すれば、日本のほぼすべての大学を受験する資格を得ることができます。でもこれ、
かなり面倒
ですし、実行するかどうかは、もちろん、子ども本人との相談になります。ただし、このような最終手段はあるようです。
対策その3:IB認定校(またはA Level)を卒業して、IB(またはA Level)入試をやっている日本の大学を受ける
2024年時点で、国内の国際バカロレア(IB)を卒業して、受けられる日本の大学は、かなり少ないです(例えば、東京大学は、国内のIB認定校卒業者はIB入試の受験資格無し。非一条校IB認定校卒業者は東大を受験したいのであれば、上記対策その2が必要。)。各大学の募集要項(毎年、変わるので、最新の募集要項を要チェック)をくまなく読む必要がありますが、筑波大学などが選択肢が比較的多そうです。でも、
進学先の大学の選択肢が限られてしまう
という、非常に大きな難点があります。
対策その4:IB認定校(またはA Level)を卒業して、海外の大学を受けて留学する(早めに奨学金について要確認)
本当は、こうあるのが通常の流れなのだとは思います。しかし、学費も留学費もとんでもない超高額(国内のインターナショナルスクールだって、途中で親の資金が尽きて退学せざるを得ない可能性もあり)になってしまうため、金銭的に不可能な場合もあると思います。
そこで、奨学金について調べておく必要があります。
広尾学園中学校、高等学校は、中学入試で超人気(偏差値70)の学校ですが、2021年に海外の大学に現役で合格した延べ人数はなんと218人だそうです。学力的にもすごいのですが、金銭的にどうなのかと思っていたところ、
奨学金制度
を調べつくして活用しているらしいです。これは、ほぼ最難関の中学受験をして広尾学園に入学しないとみられないデータですが、奨学金制度を調べまくって利用すれば、もしかしたら、海外の大学への進学の金銭面での問題はクリアできるのかもしれません。今からIBを始める君へ:奨学金獲得のススメ 前編も参考になります。まずは、https://tobitate-mext.jasso.go.jp/scholarshipsearch/ で検索するのがよいかもしれません。
自分の成績と、奨学金が得られそうか判断できたら、これが良さそうです。本人が海外の大学に行きたいかどうかという希望があるかどうかが第一ですが。
子どもを小学校のインターナショナルスクールに通学させたなら、小学校高学年頃に、大学以降の進路について子どもとしっかり話し合う必要あり
遅くとも中学2年生くらいまでには、こどもと、大学はどうしたいかについて相談して、「中学校卒業認定試験」を受験するのか、奨学金が得られなかった場合の国内の大学受験(IB入試など)についても、どういう方針で行くかについて、ある程度決めておく(決めてもらう)必要があると思いました。
リンク
学齢児童生徒をいわゆるインターナショナルスクールに通わせた場合の就学義務について 文部科学省
インター生に対する公立校の対応 2021
インターナショナルスクールのリアル #2 インター生の大学受験事情(前編) 2023
一条校のインターナショナルスクール、オルタナティブ教育小学校まとめ
【調べ方】国内で修了したA levelは国内の大学受験で使えるのか
「インターナショナルスクールから日本の学校に編入学できるの?」というご質問【答:できます】
【小学校を決める前に読んで】我が子をインターや私立に入れない理由は3つある
IB利用の国内大学受験体験談 2023
【#99】 国際バカロレア の小学校(PYP)にお子さんが通うママさんに、IB教育の感想と満足度を聞かせていただきました 2021年5月29日 →IBの小学校教育について非常に分かりやすい説明があり、イメージがわきます。
IB認定校のネイティブ教師がオンライン指導で成績を上げます! →IBのカリキュラムについて、概要が分かりやすくまとめられています。
IB / International Baccalaureate国際バカロレアとは →岐阜市のサニーサイドインターナショナルスクールは、2016年、IBが提供する国際バカロレア初等教育プログラム(PYP)の一条校(教育基本法で定められた認可学校)として日本初の認定校となりました。
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