頭の良さは生まれつきで決まる?氏か育ちか?行動遺伝学について調べてみた
以前、「無理ゲー社会(橘玲, 2021)」という本を読んだところ、行動遺伝学のメタアナリシスの論文(Polderman et al., Nature Genetics. 2015)において、39か国の1400万以上のペアの双生児を対象とした1958年から2012年までの2748件の研究をメタ分析した結果、
「共有環境」(家庭環境=子育て)の影響力が、「やる気」で0%、「集中力」で2%
という結論であり、これをもって、筆者の橘玲氏は、
「やる気」や「集中力」は子育てとはまったく関係ないようだ
とコメントしていました。こどもの教育を考える上で、「生まれつきの能力」(=教育や努力では変えられない能力???)、そして、教育が個々の能力に与える影響については、誰もが気になる点だと思います。上の、橘氏のコメントについては考えないことにしていたのですが、最近、『運は遺伝する 行動遺伝学が教える「成功法則」』(2023年)という本が出版されたので、すぐに読んでみました。
遺伝率、共有環境、非共有環境、GWAS、ポリジェネティックスコアなど、用語や、そもそも、双子を調べて、なぜ、遺伝子の表現型への寄与率(遺伝率)が分かるのか、さっぱり理解できなかったので、何冊か本を読んでみました。その結果としてのメモを残してみたいと思います。
今回りさおが読んだ本
行動遺伝学に関する本は、あまり多くを見つけることはできませんでした。以下の順番で、読んでみました。
- 無理ゲー社会(2021年)
- 能力はどのように遺伝するのか 「生まれつき」と「努力」のあいだ(2023年)
- 行動遺伝学が教える 学力、性格と「遺伝」のホント(2019年)
- 遺伝と平等―人生の成り行きは変えられる―(2023年)
- ケーキの切れない非行少年たち(2019年)
- 運は遺伝する 行動遺伝学が教える「成功法則」 2023
- 日本人の9割が知らない遺伝の真実 (SB新書) 2016
- 言ってはいけない―残酷すぎる真実―(新潮新書)
キーワード
- DNA
- 遺伝子:ヒトの遺伝子は約2万個
- ゲノム:ヒトゲノムは約30億塩基対
- セントラルドグマ
- 染色体
- 減数分裂
- 行動遺伝学
- ふたご研究法
- 相関係数
- 遺伝率
- 共有環境
- 非共有環境
- 遺伝要因
- 環境要因
- 遺伝子多型
- 遺伝子変異
- SNP
- DNAチップ
- GWAS
- ポリジェニックスコア
遺伝率
努力できるかどうかが持って生まれたときのDNAで決まっているとしたら
参考文献
- 生理人類学におけるふたご研究(大木秀一, 2017)
- 遺伝子多型・総論(猪狩敦子, 2012)
- Polderman et al., Nature Genetics. 2015
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