6時間睡眠2週間は「徹夜」と同じ?|学力・集中力を守る睡眠の話【Van Dongen, 2003】
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論文の題名とリンク

Van Dongen HP, Maislin G, Mullington JM, Dinges DF. The cumulative cost of additional wakefulness: dose-response effects on neurobehavioral functions and sleep physiology from chronic sleep restriction and total sleep deprivation. Sleep. 2003 Mar 15;26(2):117-26. doi: 10.1093/sleep/26.2.117. Erratum in: Sleep. 2004 Jun 15;27(4):600. PMID: 12683469.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/12683469/
覚醒時間の延長による累積的コスト:慢性的睡眠制限および全睡眠剥奪が神経行動機能と睡眠生理に及ぼす用量反応効果
→ 「Erratum in: Sleep. 2004 Jun 15;27(4):600.」は、統計モデルの記述に関する微修正。具体的には、論文内で使用された統計解析(線形混合モデル)の自由度(degrees of freedom)や、一部の数値の表記ミス(例えば標準誤差の桁など)の訂正とのことで、結論に変化は無いそうです。
NotebookLMによる解説









PICO/PECO
この研究は観察研究ではなく、意図的に睡眠時間を操作した実験介入研究であるため、PICO(Intervention:介入)として整理しますが、睡眠不足という状態への曝露を見るためPECO(Exposure:曝露)の側面も持ちます。
P (Population:対象)
- 対象者: 健康な成人 48名 。
- 詳細: 年齢21歳〜38歳 。
- 除外基準: 身体的・精神的な疾患、睡眠障害がなく、薬物を使用していないこと 。実験前の2週間および実験期間中はカフェイン、アルコール、タバコの使用が禁止された 。+1
I (Intervention/Exposure:介入/曝露)
- 以下の3つの「慢性睡眠制限」グループと、1つの「完全断眠」グループにランダムに割り付けられた 。
- 6時間睡眠群: 1日6時間のベッド上時間(TIB)を14日間継続 。+1
- 4時間睡眠群: 1日4時間のベッド上時間(TIB)を14日間継続 。+1
- 完全断眠(徹夜)群: 3日間(計88時間)連続で睡眠なし(0時間 TIB) 。+1
C (Comparison:比較対照)
- 8時間睡眠群: 1日8時間のベッド上時間(TIB)を14日間継続 。
- ※この群がコントロール(基準)となります。また、慢性睡眠制限(6h/4h)の影響の大きさを示すために、完全断眠(0h)群のデータが比較指標(ベンチマーク)として用いられました 。
O (Outcome:結果/アウトカム)
- ① 客観的な脳機能(認知パフォーマンス):
- PVT(精神運動覚醒検査)による反応遅延(Lapses): 4時間および6時間睡眠群では、日が経つにつれてパフォーマンスが**直線的に悪化(累積的欠損)**した 。+1
- 衝撃的な比較結果: 6時間睡眠を14日間続けた時点での認知機能の低下レベルは、「2晩の徹夜(完全断眠)」をした状態と同等であった 。4時間睡眠群ではさらに悪化し、3晩の徹夜と同等レベルに達した 。+2
- ② 主観的な眠気(自己評価):
- 乖離(Dissociation): パフォーマンス(客観的数値)は悪化し続けているにもかかわらず、本人が感じる「眠気(SSS)」は実験初期に上昇した後、横ばい(プラトー)になった 。+1
- 結論: 被験者は自身の認知機能低下を自覚できておらず、「慣れた」と錯覚していた 。+1
- ③ 生理学的指標:
- ポリソムノグラフィ上の睡眠構造(徐波睡眠など)の変化は、覚醒時のパフォーマンス低下の激しさを反映していなかった 。
エビデンスとしての要点(動画作成用メモ)
このPICO分析から導き出される、子育て世代への「キラーメッセージ」は以下の通りです。
- 「6時間寝てるから大丈夫」は科学的に否定された。(比較:8時間群は機能低下なし、6時間群は2徹レベルまで低下)
- 「辛くないから大丈夫」は脳の罠。(アウトカムの乖離:主観的な眠気は頭打ちになるが、脳機能は落ち続ける)
- 睡眠負債は「借金」のように確実に積み上がる。(介入期間:14日間ずっと悪化し続けた)







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