子どもの幸福を願うのならば、進路を含め、子どもに「自己決定」を繰り返すことを親が援助するのがよい!?
親が良かれと思って、
- 子どもをインターナショナルスクールに入れたり
- 中学受験の塾に無理やり行かせたり
- 大学受験のために、子どもの部活を途中でやめさせたり
- こんな仕事はせずに、大きな会社に就職しなさいと言ったり
することは、あるあるだとは思いますが、どうやら、子どもの人生の幸福を考えると、親が子どもの進路に無理強いをするのはダメという科学的根拠(エビデンス)がこの本に記載されていました。Webサイトでは、幸福感と自己決定―日本における実証研究から読むことができます。
Contents
大人になってからの幸せになるためには、人生における「自己決定」が大事
独立行政法人経済産業研究所における「日本経済の成長と生産性向上のための基礎的研究」の一環として、楽天リサーチを通じて実施した「生活環境と幸福感に関するインターネット調査」の結果です。
2018年、2万人の日本人のデータから、幸福感に影響する要因の分析を行いました。
オックスフォード式の心理幸福度を測る質問によって幸福感を測定し、所得、学歴、自己決定、健康、人間関係の5つを説明変数としました。
詳細は理解できませんでしたが、、
幸福感にとっては、自らの判断で自らの道を選択すること(自己決定)は、高い学歴を得ることとか、高い所得を得ることに勝る重要性をもつ
との結論とのことでした。つまり、
人生において、どこの学校、大学、学部に行くとか、どのような仕事をするかとかについては、親は子どもにアドバイスはすることはあっても、最終的には子ども自身に決定してもらう
ことが、子どもがおとなになってからの幸福感につながるらしいです。
子どもの「自己決定」を促すことにより大阪市立小学校の暴力行為件数が4分の1に激減
2012年頃、大阪市では、文部科学省が毎年発表する児童生徒の問題行動等に関する調査でも、「暴力行為」が非常に多く発生していました。例えば、平成24年、都道府県別暴力行為の発生件数(国公私立小・中・高等学校)・都道府県別1,000人当たりの発生件数・被害者が病院で治療を受けた場合の件数は、大阪府は9.4人で全国ワースト1位でした[4]。
そこで、大阪市は、学校における「安全」を向上するために、2013年に大阪市教育振興基本計画の改訂を行い、
幼児期から小・中学校を通じた義務教育修了までの期間に、『人に親切にする』『嘘をつかない』『法を犯さない(ルールを守る)』『勉強する』の4つを繰り返し指導する
ことを行いました。具体的には、2013年から、
学校安心ルール[5]
という、
小学校において、やってはいけないことをあらかじめ明文化し、それを破った場合の学校の適切な指導(対応)、それも子供たちも納得することを、事前に明示
して、それを運用しました。運用方法としては、
- してはいけない行為も、絶対にしてはいけないのではなく、するかしないかは児童・生徒の選択の問題
- ルールは、罰を与えるのではなく、してはいけないことをすれば対応を受け入れるという「約束」
- 学校安心ルールがあれば、教員は叱っても怒る必要がない。明文化された約束を実行し、「次は頑張ろうね」と、次につなげる
という流れとのことです。自分で納得した約束を守るかどうか、児童・生徒が自分で決定することで、ルールを守るという内発的動機が生まれるとのことでした。
上記の結果、2014年には、小学校、中学校ともに、1,000人当たりの暴力行為発生件数が全国平均の3倍以上あったが、2017年には、2014年と比較して、大阪市立小学校での1年間での暴力件数が4分の1に減りました。その間に、逆に、全国の小学校の1000人当たりの暴力件数が3倍になっているのとは対照的です。
あらかじめ子どもと相談してルールを決めて、それを運用するとうまくいきやすいという例としては、おうちでの「スマホルール」でもお勧めです。よければ以下のリンクを御覧ください。
最終的な自己決定は望ましいかもしれないけれど、大人としてアドバイスは惜しまない方がよいかも
人生にはいろいろな道もありますが、上の動画を見ると、何かにチャレンジするときは、失敗したときのための「命綱」的なものを用意してからでも悪くはないのかなと、思いました。そのためには、子どもが何かにチャレンジしようとしたとき、親として、否定はしないけれども、考えられるアドバイスをすることは惜しまないようにするのがよさそうです。
しかし、大学進学→企業に正社員として就職しても、時代が変われば、「命綱」なんて存在しないってなるのかもしれません。
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