学習のための積み木
非認知能力を育てるための『学習のための積み木』という考え方があります。
Turnaround for Childrenという組織が2014年に提唱した子どもの発達に関する考え方です。
以前、『私たちは子どもに何ができるのか ― 非認知能力を育み、格差に挑む』はエビデンス豊富でお勧め教育方法が具体的に書かれていた でも少し触れましたが、Building Blocks for Learning『学習のための積み木』について、もう少し踏み込んでまとめてみたいと思います。
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『学習のための積み木』は5段の積み木で、下から積み上げる
この考え方によれば例えば、上から2番目の段の、
Academic Tenacity (学業での粘り強さ)
を得るためには、一番下の段の、
Self-Regulation (自制心)
ができていないと、得るのは難しいということになります。もちろん、 必ずしもこの考え方が正しいとは限りませんが、こちらのサイトのリンクをたどると、結構、エビデンスはあるようです。
ということで、今回は、一番下の段から順に調べていき、また、りさおの個人的な意見も書き足してしまおうと思います。
1段目:健全な発達 Healthy Development
1段目は、以下の3つからなります。小学校に上がる前に、できるようになっているとよいかもしれません。
- 愛着 Attachment
- ストレス管理 Stress Management
- 自制心 Self-Regulation
これらをはぐくむためには、
- 子供をいっぱいほめる(結果褒めではなく、プロセス褒め)
- ハグする(抱きしめる)、子供を大好きであることを本人に毎日伝える
- 騒いでいるときは、どうして騒いでいるのか聞いて、自分で解決策を考えてもらう
- 今のマシュマロ1個と、1週間後のマシュマロ10個とどちらがよいか、よく問いかける(決めるのは本人)
といった感じでしょうか?(上記はりさおの個人的意見です。)
愛着 Attachment (超重要)
愛着とは、乳幼児期に、養育にかかわる特定の人との間に築かれる情緒的な結び付きのことです。[1]
こどもの自己肯定感を育むには、親(養育者)との「安定型愛着」形成が重要だと「生き抜く力をはぐくむ 愛着の子育て(2022年)」に記載されています。
こどもは、親の愛情をいっぱい受けると、親を心の安全基地として、そこから外の世界へ冒険しに行くことができ、また、不安になったら安全基地である親のもとにすぐに戻って甘えて、心の安定感を得ます。「親から離れて冒険→不安になれば親のもとに戻る」を繰り返すことにより、自分から進んで新しいことにチャレンジするマインドが育っていくという流れだそうです。なので、子どもが甘えてきたときは、思いっきり甘えさせてあげてよい(新しいことにチャレンジして、不安になって戻ってきたときの安全基地として)という考え方になります。
1978年のアインズワースAinsworth氏による「ストレンジ・シチュエーション」の実験[Ainsworth, Blehar, Waters, & Wall. Patterns of attachment: A psychological study of the strange situation. Hillsdale, NJ:Erlbaum,1978. ]によると、愛着は、以下の型に分けられました。
- 安定愛着型
- 不安定愛着型:回避型
- 不安定愛着型:両価型
- 不安定愛着型:無秩序型
詳しくは、「こころの科学」というサイトの「愛着」のページがわかりやすいです。
この愛着アタッチメントですが、研究が進むと、「異性の心も透視できるようになる」そうです。人は、自分と、恋愛相手が上記の3つのどの愛着の型であるかによって、恋愛するときの態度が決まってしまうというのが、「異性の心を上手に透視する方法(2016年)」の主張のようです。
(参考サイト)
(参考文献)
- 生き抜く力をはぐくむ 愛着の子育て(2022年)
- 子育てはピンチがチャンス! 乳幼児期のこどもの発達と愛着形成(2021年) → まずはこの一冊。具体的な声掛け方法がわかりやすいです
- アタッチメントがわかる本 「愛着」が心の力を育む(2022年) → エビデンスが豊富です。
- マンガでわかる 愛着障害~自分を知り、幸せになるためのレッスン(2019年) →パパとママのの関係をよくするのにも役立ちそうです。
- 異性の心を上手に透視する方法(2016年)
ストレス管理 Stress Management
自己制御 Self-Regulation
自己制御(self-regulation)とは、個人的な目標や、社会的な目標に沿って、自己の認知、感情、行動を制御するプロセスのことです[非認知能力:概念・測定と教育の可能性(2021年)]。
『科学が教える、子育て成功への道』(2017年)には、以下のような記載があります。
就学前の子供の自己調節能力が、読み書き能力や語彙の獲得、算数のスキルに関係している
そうです。
2段目:School Readiness
Self-Awareness 自己認識
Social Awareness/Relationship Skills 社会意識/人間関係スキル
Executive Functions 実行機能
3段目:Mindsets for self and School
成長志向 グロースマインドセット Growth Mindset
「能力ほめよりプロセスほめ」の論文を記載したキャロル・ドゥエック(Carol S. Dweck)氏によりますと、
- 成長志向(しなやかマインドセット、グロースマインドセット growth mindset)とは、人間の基本的資質は努力しだいで伸ばすことができるという信念
とのことです。グロースマインドセットを持っていれば、
- 能力を伸ばすことができると信じているので、現時点での自分の能力について、たとえ不本意であっても、ありのままに受け入れることができる
- 現時点の自分の能力を正確に把握できるので、効果的な学習をすることができる
- 努力こそが人を賢く、有能にしてくれると信じているので、努力できる
- 思い通りにいかないとき、うまくいかないときに、粘り強い頑張りを見せることができる
そうです。グロースマインドセットと対照的になマインドセットとして
- 硬直マインドセット fixed mindsetとは、自分の能力は石板に刻まれたように固定的で変わらないとという信念
とのことです。硬直マインドセットの人は、じぶんの能力を繰り返し証明せずにはいられず、新しいことに挑戦せずに、うまくできるとわかっていることばかりを繰り返す傾向があるとのことです。
自己効力感 Self-Efficacy
自己効力感とは、以下のように定義されています。
- 目標を達成するための能力を自らが持っていると認識すること[1]
- 結果を恐れずに挑戦していくことができる力[子どもの自己効力感を育む本(2020年)]
- 事にあたって、自分なら上手くできると自信が持てるという認識[キャリアデザイン入門[I]基礎力編 第2版 (2016年) ]
上の動画にまとめてみましたので、ぜひ、ご覧ください。
4段目:Perseverance
レジリエンス Resillience
レジリエンスの定義は、以下ようなものがあります。
以下にまとめてみました。
5段目:Independence and sustainability
自己主導性 Self-Direction
好奇心 Curiosity
市民意識 Civic Identity
その他の非認知能力など
- メタ認知
- 共感力
- 自己肯定感
- マインドフルネス
- やり抜く力(GRIT、グリット)
参考サイト
- 2018-04-18 社会性と感情の学習「SEL(対人関係能力育成)」とは
- 非認知能力のページ
- 『学習のための積み木』のリアルな話 2019-12-09 08:30:30
- 学習の積み木〜読むよりも語り尽した読書会〜 14/100 更新日2017年12月6日
- 学習のための積み木 2018/06/30 (Sat)
(作成中)
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