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多様性diversityとして捉える、中国深センの技術者の考え方「ハードウェアハッカー~新しいモノをつくる破壊と創造の冒険」

りさおは昔から、コンピュータがどのような原理で動いているのか知りたくて、本を読んだりしていましたが、さっぱり分かりませんでした。今回、年末に、コンピュータの原理に関する本をとりあえず10冊ほど読んで、やっと、半導体、ダイオード、トランジスタ、NAND回路とか、なんとなく大まかには理解できた気になりましたが、読んだ本の中でも、

の2冊には、ハードウェアのシリコンバレーと呼ばれている、中国の深センに住む技術者達の考え方『山寨(シャンジャイ)』(模倣品、海賊版)が記載されており、カルチャーショックを受けました。

深セン、中国のシリコンバレー

恥ずかしながら知らなかったのですが、中国の深セン(深圳、しんせん、シェンチェンし)市[Wikipedia]は、香港のすぐ隣にある、人口1800万人の巨大都市であり、中国の電子製品工場がたくさんあるそうです。深圳から始まった有名な企業がたくさん(ファーウェイ、テンセント、BYD、ZTE、DJI)あり、びっくりしました。

また、バイオテクノロジー産業も盛んであり、2019年に、深圳で起業した科学者が世界初のデザイナーベビーを発表したこともありました[中国「ゲノム編集」科学者、主力企業と関係遮断]。

白牌(バイパイ)/貼牌(ティエパイ)という手法

「白牌(バイパイ)製品」とは、無名メーカーが作った電気製品で、白紙のノートのように、後から別のブランド名を書き込める製品という意味だそうです。

この、白牌(バイパイ)製品にブランド名を書き込む行為を、「貼牌(ティエパイ)」と呼び、バイヤー企業が、「白牌(バイパイ)製品」メーカーと契約して、バイヤー企業の電気製品として、2001年頃から、日本や欧米で、売り出すことが行われているそうです。

なので、中身は全く同じで、外側のロゴだけ異なる商品が、販売されることがあるそうです。これはもはや、海賊版などではなく、ロゴだけ異なる全く同じ製品ですね。このようなシステムになっていることを、2024年の今、初めて知りました。

山寨(シャンジャイ)(海賊版)という考え方

中国を含め、電気製品を作る場合、設計、部品の仕入れ、部品の組み立て、ソフトウェアの実装、輸送、販売の間に、何社も間に入ることが多く、その途中の会社から、製品の設計図や、ソフトウェアが外部に漏れて、海賊版が作られることが当たり前だそうです。

中国には、

草むらに道を開く者は死ぬ

という、先行者必敗の法則(先行者利益の逆)の言葉あり、苦労して研究開発した企業よりも、それをお手軽に模倣した企業の方が強いことが多々あり、それが当たり前の世界になっているそうです。

アメリカンドリームならぬ中国ドリームとして伝説的な存在である「段永平」氏(携帯ブランド「OPPO」を作成した会社、歩歩高電子BBKの創業者)の話として、

  1. 1989年、任天堂のファミコンの海賊版「小覇王」を作成し大成功
  2. この資金を元手に1995年に歩歩高電子BBKを創業。MP3プレーヤーや携帯電話で大企業となる

という話が、中国の野心家たちのバイブルとなっているそうです。つまり、「起業して大金持ちになりたければ、まずは既存の製品の海賊版を作って資金をためるというのが第一歩」というのが当たり前の感覚というのは、日本と中国の分化の違い、つまり、国が違えばそのような考え方をする人がたくさんいるという、「多様性」として、そのような人たちがいることを認めて、ビジネスの世界で戦っていかなければならないのだなと、個人的にショックを受けました。

アメリカでは返品に対する規定がゆるやか

日本と中国との間における模倣品、海賊版に対する考え方が異なるのと同様に、日本とアメリカの間にも、商品を購入した場合の返品に対する考え方にも大きなギャップがあります。

アメリカでは、「一度購入したけど、品物には異常はなかったけど、気に入らなかったからやっぱり返品」が多々、行われるそうです。アメリカで何等かの製品を売りたい場合は、このような商慣習も理解してから始めないと、大赤字になってしまうことがあると、「ハードウェアのシリコンバレー深セン」に学ぶ−これからの製造のトレンドとエコシステム に記載されていました。このような商慣習も「多様性」の一つなのだなと思いました。


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