『世界で活躍する子の<英語力>の育て方』の内容を実践したい
『日本人のこどもが、日本にいながら、実用的な英語力を身につける方法』を紹介しています。アメリカのESL(English as a Second Language)という移民英語教育の理論がベースとなっている『リーディング力の獲得』を第1目標とした教育法とのことです。本の内容は非常に具体的です。2021年現在、個人的に最もお勧めの英語教育本です。
まず、大前提として、
英語は英語のまま理解する(和訳はしない)
というものがあります。英語を日本語で解説してある本を読むのではなく、
- 英語のみの絵本の読み聞かせからはじまり、
- youtubeやCDでネイティブの発音を聞き、
- 英語のみの簡単な本をたくさん音読してもらってほめまくり、
- 英語のみの簡単な本を多読してもらい
- それを10年続けてもらい、ハリー・ポッターの原著を読めるようになる頃には英語力はバッチリ
- 可能であれば、中学生か高校生で一年間留学
といった教育法が具体的に記載されていました。
『りさお』は小学校の時に1年半ほどアメリカにいた(たしかに、ESLの授業受けていましたが、内容は全く覚えていません。)こともあり、また中学高校と英語の塾にも行ったりかなり勉強したので、大学受験英語は苦手ではありませんでした。がしかし、大学入学以降、英語は全く勉強せず、社会人になって、まともに英語を話すことも書くこともほとんどできません。私自身の留学経験もありませんし、行く気力もありません。
時代は変わり、 2020年には小学校でも英語が必修化され、英語ができる小学生はわんさかいます。実際、職場でも、今の20代の方は外国人と英語でバンバンしゃべっており、うらやましいなあと思いながら横目で見ています。
『りーたん』(現在4歳)にはどうしても英語はできるようになってほしくて、3歳くらいから、オールイングリッシュの幼稚園に通ってもらっているのですが、最近、英語の勉強で、
phonics フォニックス
というのがあって、その宿題を一緒にやることがあります。
恥ずかしながら、『りさお』はphonicsという勉強方法を最近まで知らなかったので、英語の教育方法についてためになりそうな本を読んでみることにしました。まずは、 世界で活躍する子の<英語力>の育て方 を試し読みして、面白そうだし、phonicsについても記載されていたので、購入して読んでみました。
この本の通りに実践できれば(こどものモチベーションをどうするかが大問題ですが)、インターナショナルスクールに入れたりして莫大な費用をかけなくても、こどもが英語ができるようになるんじゃないかなあと妄想しました。
抜粋と感想を書きたいと思います。
Contents
第1章 20年後、日本では「英語格差=収入格差」になっている
韓国では1997年に小学校で英語が必修化され、高校生までに3人に1人が1年以上の留学をして英語を身につけたり、『サイバー英語教室』と呼ばれるネイティブによるオンライン学習が利用されており、2015年頃の国際英語学力テストの成績も良いそうです。
日本では、群馬県高崎市の「くらぶち英語村」(2018年~)や、
トーキョー・グローバル・ゲートウェイ(東京都江東区)
といった『英語村』が紹介されていました。『英語村』では、1日~1週間程度、その施設で、英語をも用いて共同作業を行うプログラムを通して「コミュニケーション英語」を学ぶことに重点を置いているそうです。
キッザニア東京(東京都江東区)にもEnglish Wednesday!といって、水曜日は約半数のアクティビティが英語で行われるそうです。普段キッザニアは日本語なので、最初は、既に日本語で受けたアクティビティを、水曜日に英語で受けてみるのがやりやすいかもしれません。
第2章 「英語ができる子」が目に見えてトクをする7つのこと
『りさお』が興味を持ったのは、
- 返済不要の奨学金が取りやすくなる(トビタテ!留学JAPAN、JASSOなど)
- 中学受験・大学受験で試験が免除される(そもそも、2020年から「英語外部検定利用入試」という制度が開始)
- グローバル就職で有利になり収入が増える(エビデンスがあるそうです。)
- 世界で要求される「個人的自己表現が身につく」
- ロジカルシンキングが身について、コミュニケーション能力も向上する
すごいですね!でも、本書を読むと、説得力がありました。
第3章 日本の子ども英語教育、よくある7つの間違い
- 英語のリーディング能力の育成が大事。英語の読み書き、特にリーディングを集中指導(どのくらいのスピードで英語を間違えずに音読できるかも指標の一つ)
- 「日本語での読書力育成」が英語力獲得への近道(家庭では、毎日30分の日本語の絵本や本の読み聞かせが超重要)
- 英語を教える場合は英語オンリーで、日本語を教える場合は日本語オンリーでインプットする(catはcatであって、そのまま絵でcatで覚える。catは猫だよといった教え方はしない。わからない単語があれば、まずは文脈の中で予想して、その後、英英辞典や類語辞典シソーラスで調べてもらう)(参考:シソーラスの使い方)
- 演劇(歌、ダンス)は英語習得を加速させる(演劇部の子が英語習得が得意な傾向にあるそうです)
- 理解よりも「読める」ようにするのが先(→たしかに、読み方がわからない英単語には『りさお』もイライラすることが多かったです。意味は二の次、まずは、英語を流暢に、速いスピードで読むことに専念させる)
- 「簡単な本」の「多読」によって子どもは「英語を英語のまま理解する力」を身につけることができる
- 親がこどもに英語を教える際に注意すべき点は、「日本語に訳さないこと」「テストをしないこと」(→英語は勉強ではなく楽しいものとしてこどものモチベーションを保つ)
- 家庭でネイティブ英語の音環境を作る(→こちらのブログが参考になります。)
- フォニックスはネイティブ英語で教えること(→お金があるならTLC Phonics Program(ビギナーコースは7か月間視聴で4万円弱)、個人的にはあいうえおフォニックスのサイトがよいかも!?)
「簡単な本」の「多読」 によるリーディング力の向上は、大人にもお勧めの英語勉強方法だそうです(参考サイト)。読んでいて面白い本じゃないと無理なので、実際にどんな本を読んだらよいかについては、SSS推薦・多読用基本洋書のご紹介が大変参考になります。
第4章 日本にいながら英語教育を成功させる3つの目標
子どもが一生使える「高度な英語力」を獲得するには、以下の3つの目標を掲げるのがよいとのことです。
- CEFR B2レベルの達成(英検準1級、TOFEL iBT 72以上)
- リーディング力の獲得
- 8~10年の学習期間
英語のリーディング力を獲得する前提となるのが「日本語での読書力」なので、幼少期から、家庭で日常的に絵本や本の読み聞かせを楽しくしてあげるのが大事なのかなと思いました。
第5章 海外留学せず、家庭学習のみで「CEFR B2レベル」を目指す具体的な方法
これが知りたかったのです!本書には具体的な方法が記載されており、買って読んだ方が早いのですが、少しだけyoutube動画などのリンクを貼りたいと思います。
- (2歳~4歳)フォネミック・アウェアネス
- (4歳~6歳)フォニックス
- (4歳半~6歳半)サイトワーズ、センテンス
- (5歳~7歳)リーディングフルエンシー
- (7歳~)リーディング
がお勧めだそうです。上の「2歳~」などのところは、英語を始める年齢によってずれたり省略したりします。
(2歳~4歳)フォネミック・アウェアネス
「フォネミック・アウェアネス(phonemic awareness=音素認識)」とは、英単語がどんな音から成り立っているのかを耳で覚えることだそうです。(参考:【フォネミック・アウェアネスとは】2021.1.29)
乳幼児期は、まずは、英語の歌などをかけ流して、
『音のみで、英語の文法的リズム、音感的リズムに慣れる』
のがよいとのことです。具体的には、毎日1時間強、小さな音で、例えば以下のような歌を繰り返し流すのがよいそうです。
『りーたん』は、2歳の頃は、Little Baby Bum のThe wheels on the busが日本語版も英語版も大好きでした。
以下のリストは、3歳頃の『りーたん』が好きだった曲です。Cocomelonの赤ちゃんのJJ(ジェイジェイ)が大のお気に入りでした。
- Baby Shark
- キラキラ星
- BINGO
- Head Shoulders Knees & Toes
- London Bridge is Falling Down
- Hot Cross Buns
- ABC song
- ABC Phonics Song
あと、『こどもチャレンジ』の体験版DVDのOpen shut themも、物凄く気に入っていました。
本書には、他にもたくさんの歌や、お勧めの絵本の読み聞かせ音声のリストがのっていました。この中で、自分のこどもが気に入ったものを1日一時間くらい聞かせてあげるのがよいかなと思います。画面を見せ続けると近視になりそうなので、我が家では、画面を見るのは1日15分までにして、それ以外は音声のみ聞いてもらっています。
『りーたん』は、よく英語の歌を歌ってくれているので、効果はあるのだと信じています、、、
(4歳~6歳)フォニックス
phonics フォニックス は、英語の音と文字をセットで覚えることです。(参考:フォニックスってなに?)
ABCDを、
- えー、びー、しー、でぃー
ではなく、
- ア、ブッ、クッ、ドゥッ
と読みます。
フォニックスには「44種の音」と「120通りのつづりのパターン」があるとのことです。例外も結構あるのですが、フォニックスを知っていれば、
知らない単語を音声化できるようになる
というメリットがあります。日本語でも、文章中に読み方の分からない漢字があるとストレスがたまるのと同じように、英語も、まず読み方(音声化)が分からないと、ストレスで読む気がそがれてしまいますよね。それを解決してくれるのがフォニックスです。その後の『リーディング力』を養うためにも、このフォニックスが重要だそうです。
大量の暗記事項であり、定着には、最終的には文字を書く取り組みが不可欠なので、いかに「楽しく」ゲーム感覚で身につけるかが鍵となります。
本書では、
- アルファベットチャート
- アルファベットカード
- まずはインプットに徹する(リピートしてみて!これはなんて読む?はNG)
- ワードファミリー(本書に具体例あり)
- youtubeなどでネイティブの正解な音を聞かせる(Little Foxと著者のスクールのTLC phonics programなど)
個人的には、Jack Hartmann(軍曹、、、じゃなかった、、、)のABC songもイケイケで好きです。
日本語の解説とかわいくて分かりやすいマンガの『あいうえおフォニックス』が私には一番ヒットしました。ホームページ(これは傑作です!)からyoutubeを見るのが非常に楽です。『りーたん』と『りりー』にも聞いてもらっていますが、今のところ嫌がっていません。
子供に教えるためには親が理解していないといけないので、当然以下の本も買いました。フォニックスを子供に教える(教えなくてよいのかもしれませんが、こどもから聞かれたときに答えられるために)親には必須かなと思います。
(4歳半~6歳半)サイトワーズ、センテンス
フォニックスも最近まで知りませんでしたが、サイトワーズなんて言葉は本書で初めて知りました。
Sight Words サイトワーズは、一目で読める単語といって、
- フォニックスのルールが通じない(例外に相当)
- フォニックスルールが通用しないので、一単語ずつ発音を丸暗記するしかない
- 日本語の『漢字』に相当する
- theやhaveなど、よく使われる単語を、よく出てくる順番で発音方法を丸暗記する(最初は意味は気にしなくてok)
- サイトワーズを覚えると、かなりの本が読めるようになる
という特徴があります。サイトワーズの頻出100単語リストが本書に記載されていました。Dolch Sight Words Listの上位300単語は読み書きできるようにならなければならないとのことでした。むむっ?なんか暗雲がたちこめてきているような、、、まあ、カードとか買って遊び感覚で行くしかなさそうです。
あくまでyoutubeやアプリは補助教材であり、最終的には書き取りで覚えてもらう必要があるとのことでした。
センテンス 文章についてはよく分かりませんでした。なお、サイトワーズの学習は、フォニックスが終わる前から開始するべきとのことでした。
(5歳~7歳)リーディングフルエンシー
リーディングフルーエンシーとは、「速いスピードで、流暢に、英語の本が読める状態」のことだそうです。
最初は文章の意味の理解は問わずに、
流暢に正しい発音で音読する
やり方としては、
- 簡単で短い本の多読により
- 達成感と成功体験を積んでもらい
- こどもが音読するときは必ずそばに座ってよく聞き
- こどもか読み終えたら、とにかく誉める
ことが大事とのことです。引き続き、親が絵本の読み聞かせを続けるとともに、こども自身に、
- ORT(Oxford Reading Tree)のステージ1 (さらにCD音源の聞き流しもgood)
- アイキャンリード!
- First Little Readers
のレベルの本を100冊、音読してもらうのが最初の通過点だそうです。無理やりやらせるのはおそらく無理で、なんとか好みなどを把握して、こども本人が楽しんでやってくれるような環境を整えたいところです。
本書には、その上のステップの本のリストも含めて、具体的に記載されていました。繰り返しになりますが、SSS推薦・多読用基本洋書のご紹介の本のリストも、読んで面白い本が多く、難易度も記載があり、本選びの参考になると思われます。
あとは、7歳以降は黙読でリーディングを続けられるように、お気に入りのシリーズや作家を見つけてもらえるように、親も努力したいところです。
この後の章では、『年齢別のこどもの英語学習のモチベーション維持のヒント』と、『英語子育てQ&A』が記載されており、どれも非常に参考になりました。
買って絶対に損しない本だと思います
日本で英語教育をする方法として、以下がお勧めとのことでした。
- 日本語の本の読み聞かせと読解力向上をしっかり指導または見守る
- 英語のかけながしから始めて、フォニックスをやりつつ、第一目標として『リーディング力』の向上を目指す
- 英語の本を読むときは英語のみを使い、英語のまま理解する(日本語に訳さない)
- 10年、英語の本を読み続けて、CEFR B2レベルの達成(英検準1級、TOFEL iBT 72以上)を目指す
- とにかく楽しく、こどもが自発的にやってくれるような環境作りを(そのためのアドバイスはたくさん記載あり)
- 英語が上手になりたいのなら、演劇部に入ろう!(無理強いはしない)
非常に具体的なアドバイスに溢れており、ぜひ、なんとか、この本に近いかたちで『りーたん』と『りりー』に頑張ってもらいたいと思いました。さあ、今から10年後、どうなっているでしょうか!?
追記
国語力を教育するためにはどうすればよいかとググったところ、文部科学省のページが、本書の英語教育方法とほとんど同じことを提言していたのでびつくりしました。
https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/bunka/toushin/attach/1418974.htm
文部科学省:第1 国語力を身に付けるための国語教育の在り方
— 登録:平成21年以前 —
体験記などのリンク
著者のスクールのTLC phonics programの体験記
著者のご兄弟が主催されている、フォニックス無しの繰り返し聞き流し暗唱の、パルキッズの体験記
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